正規のソフトウェアのアップデート機能が悪用され、利用者にウイルスが配布される――2014年、動画再生ソフト「GOM Player」で実際に起きたこの事案(いわゆる“改ざん事件”)は、ソフトの「更新サーバー」を狙うサプライチェーン攻撃の代表例として知られています。当時のニュース記事をもとに、何が起きたのかを記録としてまとめます。
※これは2014年の出来事の記録です。その後GOM Player側は対応を行っており、ソフト自体は現在も提供されています。
「GOM Player」とは
GOM Player(Gretech Online Movie Player)は、韓国グレテック(韓国語版)(GRETECH)社が開発したメディアプレーヤーである。プロプライエタリなフリーウェアであり、バイナリは無償で配布されている。 GOMとは熊を意味する韓国語の単語「ゴム」(곰)と上記の略称をかけたものであり、プレイヤーのシンボルマークとして熊の足のマークが使用されている。
株式会社ラック(セキュリティ関連会社)の発表

正規のソフトウェアのアップデートで、不正なプログラムが実行される事案について | セキュリティ情報 | 株式会社ラック
本事案においてウイルス感染に悪用されたソフトウェアは、GRETECH Corp.が提供する動画再生ソフトウェア「GOM Player」です。「GOM Player」の起動時に、製品のアップデートを促され実行した際に、アップデートプログラムを装ったコンピューターウイルスに感染し、外部からの遠隔操作が行われる状況になっていたことを確認しました。感染パソコンは、遠隔操作されることで、パソコン内や内部ネットワークの情報窃取など様々な被害を引き起こす恐れがありました。
(サイトより抜粋引用)
「GOM Player」公式サイトの発表

一部報道に対する弊社の見解について – GOM Player【ゴムプレーヤー】
弊社では一般社団法人JPCERTコーディネーションセンター(https://www.jpcert.or.jp/)の協力を受け、アップデートサーバーへの攻撃について、調査を進め対策を行っております。 現時点でGOM Playerアップデートサーバーの安全性は確認しておりますが、今回報道されている事象が現時点でも発生していた場合の可能性を踏まえ、ユーザーのみなさまに安全なソフトウェアを提供することを最優先と考え、GOM Playerを含むすべてのGOM製品(GOM Encoder、GOM Audio、GOM Tray)のアップデートサービスを一時中止させていただいております。
(サイトより抜粋引用)
その他ニュース記事
GOM Player、アップデートでウイルスをインストールする恐れ
GOM Player、ウイルス感染チェック法 : サイバー護身術 : セキュリティー : ネット&デジタル : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
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この事件から学べる教訓
正規ソフトの更新が悪用されたこの事案は、利用者がどれだけ注意していても“信頼している入口”が狙われ得ることを示しました。同種の被害を防ぐために、一般のユーザーや組織が意識しておきたい考え方を整理します。
- 正規ソフトのアップデートであっても、「更新そのものが100%安全」とは限らないという前提を持つ
- セキュリティソフトを常に最新の状態に保ち、不審な挙動を検知できるようにしておく
- 重要なデータはこまめにバックアップし、万一感染しても被害を最小限にとどめる
- 企業や組織では、特定のソフトに依存しすぎず通信の監視や端末管理を組み合わせる
ユーザー個人にできることには限界がありますが、「異常に早く気づける体制」を持っておくことが被害の拡大防止につながります。
サプライチェーン攻撃とは
この事件のように、ソフトの配布元や更新の仕組みそのものを狙う攻撃は「サプライチェーン攻撃」と呼ばれます。利用者が信頼しているルートを乗っ取るため、通常の警戒では気づきにくいのが特徴です。
- 標的:開発元の更新サーバーやビルド環境、配布ルートなど“供給の経路”
- 厄介な点:正規の署名や正規のダウンロード元を経由するため、利用者側で見抜くのが難しい
- 影響範囲:そのソフトを使う多数の利用者へ、一度に被害が広がりやすい
だからこそ、提供する側のセキュリティ体制と、利用する側の多層的な備えの両方が重要になります。
よくある質問
正規ソフトのアップデートはしないほうが安全ですか?
いいえ。アップデートには脆弱性の修正など重要なものが多く、更新しないほうがむしろ危険です。この事件はあくまで例外的な事案であり、基本は公式の更新を適用しつつ、セキュリティ対策を併用するのが正しい姿勢です。
感染を防ぐために個人ができることは何ですか?
セキュリティソフトを最新に保つ、OSやソフトを更新する、重要データをバックアップする、不審な挙動に早く気づける環境を整える、といった基本の積み重ねが有効です。一つの対策に頼らない多層防御が大切です。
この事件のあと、GOM Player自体は使えるのですか?
本記事は2014年当時の出来事の記録です。その後、提供元は対応を行っており、ソフト自体は現在も提供されています。最新の状況については公式の情報を確認してください。
まとめ
2014年のGOM Player改ざん事件は、正規ソフトの更新サーバーが狙われた“サプライチェーン攻撃”の代表例として記録に残るものです。利用者が信頼している入口が悪用されるため、通常の警戒だけでは防ぎにくいのが怖いところ。だからこそ、アップデート自体は適切に行いつつ、セキュリティソフトの最新化・データのバックアップ・異常への早期検知といった多層的な備えを習慣にしておくことが重要です。過去の事例を知ることは、これからの安全なPC利用を考えるうえで確かな手がかりになります。

